昨日は兄の所へ行った。 兄は生死の境から甦って随分元気になった。
車椅子は使っているが、自分の力で立ち上がって歩いて室内に入る。
私は何でも苦しい事辛いことは嫌で、すぐ「安楽死させて~」と願うほうだが、生命力というのは半端じゃないことを知った。
週2で通っているデイケアで夏祭りがあり、カラオケで歌うのだという。
兄は歌が上手かった。宴会になると得意の歌謡曲を歌っていた。
私は耳が悪い。弱っていたときの兄の力のない声はほとんど聞き取れなかった。
今は低音だが聞き取れる。体力がついたのだ。
フランク永井の『お前に』をアカペラで歌ってくれた。毎日練習しているのだという。
音階もしっかりして情感たっぷりに歌う。
悲しいとき辛いとき・・・繰り返しのフレーズで
あなたのそばがいい・・・を聞きながら思わず涙が出た。 兄嫁に捧げる歌だ。
デイサービスでの写真を見せてくれた。クリスマスでのスタッフとの写真など沢山あった。 ピースのポーズをする若いスタッフと車椅子の老人たち。
この一人一人に兄のような人生があるのだと思った。
若いときは世話をかける老人とひと括りにしていた気持ちもあったが、衿をただして写真を見る私であった。