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兄3で、兄はダンデイといわれたと書いたが、けっしてハンサムではない。兄より5才下の次兄は、父親ゆずりの二重まぶたで、若いころは佐田啓二に似ていると騒がれていた。
次兄は無口で若いときは社交ベタ。兄はハッタリも利くし弁舌も巧みだっから、次姉と私は「兄ちゃんは早くなにか云ってほしいと思うし、Sちゃん(次兄)は黙って立っていてほしいね・・」とかげ口を言っていた。
その長兄に私は似ていると言われるのは心外だった。だが、年を取ってくると認めないわけにはいかない。たるんだ目や輪郭はいやになるぐらい似ていると我ながら思う。
兄の入棺をすませたとき兄嫁は、「おばあちゃんの死んだときの顔とそっくり、Yちゃんもこんな顔になるよ」と言った。私は自分のデスマスクを見たことになる。
ベルコ会館の洗面所は、どこもサイドの鏡が多角的に見られるようになっている。横や後ろの髪型も見られて便利だが、いやおうなく老いた全面を見せつけられることになる。
横少し後ろからの横顔などは、若いころは全然似ていないとおもっていた長姉にソックリだ。
血筋というものは確実に伝わっている。
つづく
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