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兄嫁の友達
若いころはPTAなどで友達はすぐにできる。だが子供たちが育ってしまえば、趣味のサークルなどにでも入らなければなかなか友人はできにくい。
長年住んでいた豊浦では、兄嫁と歩くと中々先に進まなかった。道行く人がみんな知り合いで挨拶が長くなる。子供を育てて本人もこの地に育ったのだからそうだろう。
だが、都会にでてMC住まい、兄の介護で趣味のサークルにも入れない環境だ。
ここでたった7年間で兄嫁は晩年のかけがえのない友人を何人も作ったのだ。
近所の小さな洋服店のオーナー夫婦・美容院のオーナー、その友人たちもまきこんで兄嫁は友人を作っていった。
自分の限界を知って兄の介助の人を求めているのを知って、洋服店のSさんが介護人を紹介してくれた。
病院の近くに住む付き添歴7年のベテランである。
この人を兄嫁に引き合わせたことはノーベル賞ものだと友人たちは評価した。
それほど有難い存在となった。
Sさんは友人と毎朝1時間ウォーキングをする。兄嫁が悲鳴をあげているのを見かねて、その時間を兄嫁の自宅に来て背中や全身をさすって励ましてくれたという。
いくらたまさか洋服を買ったり、扱っている鉱石(マグネシュームだったか・・)を買ったりのお得意さんといえども中々ここまではできないことである。
その友人たち数人はみんな兄の見舞いにも度々いき、兄の死にかけつけてともに泣いてくれた。
私ならサークルに入ってもそこだけの友人しか作れない。 つづく
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