|
秀子は母親が建てた、ステンドグラスの教会のようなバカデカイ家とバラのアーチのある悪趣味な(ワタシ、バラのアーチのある庭、憧れたことが;;)庭を壊し、熟年夫婦にふさわしい家を建てた。
その際、長年の数々のトロフィ・記念の品など処分する。残したのは親指ほどのゴールドの像だけ。
片付け魔の秀子は台所・居間・・[善三の部屋を除いて]一切の余計なものは置かない。
3度3度夫のために料理するのに、台所は使ってないのじゃないかと思うほどピカピカ、なんにも置かれていない。よく見れば片隅に小さなタワシとスポンジが置かれているだけ。
と晩年になって養女になった斎藤明美は書いている。
そういう秀子だから初めての夫婦喧嘩は夫からのプレゼントだった。結婚したてのときは、善三はなけなしの財布からちょくちょく愛妻にプレゼントをした。
秀子はそれを買った店に行って気に入ったものに取り替えた。夫は激怒した。好意は好意として受け取るが気にいる気に入らないは別だからと言い訳するが、夫に謝った。
それ以来夫からのプレゼントは一切なくなった。
到来物、馬鹿でかい置物などもどんどん届く。それらのものは夫と話し合って了解を受けられればいそいそとお取替えに出向くし、取っておきなさい・・と言われればしぶしぶ収容場所に片付けた。
ある程度年を取った人は、暮らしぶりが決まってくる。そうしてなるべく物をためないようにする。下重暁子の本にもそうしたことが書いてあった。手作りの贈り物が一番処分に困ると。
秀子のように徹底して物を排除していきたい人には贈り物は苦痛でしかない。
次元がちがう私のようなものでも、要らないものはどんな高価なものであれ要らない。
気持ちよくわかるなぁ・・・と初めての夫婦喧嘩を読んだ。
by oss102
| 2012-12-02 16:07
| 本
|
Comments(6)
|