72才の若さで友人が老人施設に入居することにした。 9月に急逝した夫に遺された友は、あれよあれよという間に決断して、30年住み慣れた家を売り、今月一杯でこの家を出て行く。
親しい仲間とささやかな送別会をした。
人間一人動くということは、ものすごい量の書類・手続きがいるものだ。
友人は表を作って書き込んでいた。あれこれ電話したり、書類を書き込んだりしていると、忘れてしまうので表を作ったのだと。
サンサンと陽の差す部屋でビール・ワインの昼酒を飲みながら、これからのコンパクトなひと部屋での暮らしを思う。 何事にも前向きな彼女は入居が楽しみだという。 入居までの一日一日が長く感じると。
膨大な量の家具や衣服・日常品。物への決別も見事なものだ。
以前読んだ本で、アメリカに住む娘が、母親を引き取るために家の整理をするようにと言ってから半年。娘が実家に帰ってみるとなんにも整理ができていなかった。 娘はそれを一日で片付けてアメリカに引き取った。
思い出もなんにもないものは、要か不要かで決められる。
でも先へ進むにはどれだけの物が暮らしに必要かを考えることだ。
友人に学ぶことは多い。