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昨日は大雪のトラブルでみなさんに愚痴りたくなりましたが、これは解決してからまとめて書いたほうがいいと、一晩寝たら思い直しました。
それで大晦日までの3日間、また年末アーカイブ編を載せますので、手抜きではありますが、また読んでいただけましたら嬉しいです。
作家の値段 出久根根達郎
先日ちょっと触れた、この本を読み終わった。
同じ趣味を持つもの同士の話は面白いものだ。
私も花友達、ネコ友達、スキー友達との話は、あ・うんの呼吸が合って楽しい。
こんな低いレベルの話とは違うが、青山二郎と白洲正子の
関係もいいな・・・とかねがね思っていた。
それが仕事となると、このような本になるのだと思った。
本と一口に言っても、古書店にとっては物凄い違いがある。
初版があり、カバーがあり、帯があり、しおりがある。それらが揃わないと値段が違う。
再販は出版社が違っていたり、文庫があったり、帯が2色あったりする。
雑誌なら付録があるかないか・・・付録だけで値がついたり・・・
そして一人の作家が、幾つもの名前を持っていることにも驚いた。
どの少年雑誌には、この名前で・・別のはまた違う名前・・学生時代に出していた同人誌の名前と5つも6つも一人の作家に名前がある。出世魚よりも沢山の名前だ。
それを何年に出したこの小説にはこの名前で、後のはあの名前でと調べがついている。
それらを全て調べて、需要と供給を考えて値段をつけるのだから、古書店とは凄い商売だ。
仲良くしている古書店同士の話が出てくる。
あの薄暗い古書店のコーナーで、面白くもない顔つきのオーナーとその仲間は、こんな面白い薀蓄を傾けあっていたのか。
色々な作家のエピソードが載っているが。
永井荷風の章の一節。 出版当時、検閲でカットされた部分を・・・(恋衣 花笠森より)
「お仙、かうして二人一緒に寄り添うのも、半年振りだと思うせいか、何やら息がはづんで、どうも、こりゃ料簡がなりかねる。」 「あれ、擽つたう御座んすによ。」 「お前も、それ、この手をかうして見な。」
4行ほど進んで、また削除。
「怪しいか、怪しくないか、お前の気のすむように、どうなとしたほうがよい。 私の身体はとうからお前のものではないか。」 「お仙。」 「何で御座ります。」 「かうなっては、いっそ顔の見えぬのが残念だの。」
こんなくだりを猥褻ととがめられて、バンバンカットされている。 現代の我々からみたら、お笑い草でしかない。・・と出久根さんは書いていますが、でもなにやら雰囲気濃厚で・・・現代のものより、そそられますね。
by oss102
| 2014-12-29 15:51
| 本
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Comments(4)
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