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100万回生きたねこのあの佐野洋子である。
どうしても好きになれなかった、いやハッキリ嫌いだった母親の話。
兄がいたが病弱で死ぬ。7人キョウダイで4人が生き残って洋子は長女。
記憶の中では1度も母親に抱いてもらったこともなく、まだ幼女のころに、母親の手にすがりついたときは、ふり払われた。…5年生の細い体に、天秤棒での厳しい水汲み。
延々と冷たい目線で母親を書き、50年も母親を好きになれない自責の念で苦しんだ。
嫁に家を追われて行き場のない母親を引き取り、そして老人ホームへ入れる。自業自得だからね、と思いながらも、自分は母を捨てたのだと思う。
ぼけて6年以上たち、弱い母親に初めて気づき号泣する。風邪が治った時みたいにスッキリする。
そうしてようやくこの本が書けた。愛されたかった洋子の愛憎がこれでもかと書かれる。
そして世の中には愛し合えない母娘もかなりいるのだと気付く。
母親を激しく憎み、嫌悪するということは、それほど愛されたかったということなのだろう。
by oss102
| 2015-04-19 16:00
| 本
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