中村メイコの夫、作曲家の神津善行が、植物の本を出している。
植物と音との関係を研究した成果の本だ。
面白いことが一杯書いてあるが、植物の根は、人間の頭脳にあたり、葉や幹に風が当たったり、折られたりすると、一々指令を出していると言う。
花は、植物にとって性器だという。
つまり人間の頭を地中に入れて、逆さまに立っているのが植物の姿だそうだ。
植物の歴史の方が、人間よりズーッと古いわけで、花が逆さまになったのではなくて、人間の方が逆さになったわけだ。
古い歴史を持つ植物の中で、新規参入したのは蘭である。古い植物よりもかなり知恵のある構造をもっている。
写真は鮮明でないが、人間の性器そのものの形をしているものがあり、昆虫の擬態をしたもの、数片の花びらをつかって蝶の形になるもの、様々である。
大きな花びらを持ち、その前に女王蜂が止まってような姿の花がある。この蘭は、香りも密もないが、女王蜂が止まっているものと錯覚した働き蟻が突進してくる。
このときに花粉が蜂につき、受粉に成功する。
この蘭などは、だましのテクニックの最たるものである。
家の屋上にコンピュータの機械、植物の発信電波の機材、様々な実験用の植物をおいて研究している。
「貴方、いつになったら私たちは、おいしいトマトを食べられるのですか」とメイコに聞かれるそうである。
本当に研究者というものは、ヘンテコリンなものである。