もう十数年前になるが、ニュージーランドにスキーに行った。
桜がチラホラという季節であったが、帰国の日は雪が降って、とても寒い朝となった。
バスの車窓から、一面、白になった広い草原に羊が立ちつくしているのが見える。
山には降るが、滅多に下には降らないのだ。
クライストチャーチの空港で待つ間、余りの寒さにウールの靴下を買った。足がとても冷たかったのだ。日本円で2500円もする。勿体無いと思ったが、風邪をひくよりましと思って買った。
グレーの面白くもなんともない男性用の靴下である。その場で靴下をはいて、足の冷たさは解消した。 とても暖かい。
オークランドに着いて、何か記念になるものをと、カーディガンを買った。15000円ほどした。
帰国してこの2点、数回は着ただろうか。 あまりに暖かすぎるのである。
床暖房では、この靴下は暖かすぎだ。スキー靴も今はパンスト一枚でもはけるほど、インナーブーツが良くなった。
部屋が暖まるまでの少しの間、カーディガンをはおってみたが、モヘアなので首のあたりの感触が良くない上に、すぐ暑くなる。フリースの方がずっと着心地がいい。
今はバスも車も暖かいし、建物の中もあたたかい。
冬物売り場でも、冬向きのデザインにしてあるが、かなり薄手のものが多くなってきた。
コートだけ暖かいものがあれば、それで良い。
着ないものはすぐ捨てる主義の私も、これはなかなか捨てられずに、失敗の買い物の記念になっている。
何かあって、体育館にでも避難しなければならなくなったとき、役立つであろうか。
記念の写真を撮って、フト見るとフーロが心地よげに丸くなっていた。役立ちました。