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今度は1993年・20年前出版の本です。
この人が文章で食べていけるのがわかる、面白い本です。
カヌー初心者のカメラマンと別々のカヌーに乗って釧路川を下ります。撮影のためある程度の距離がいるためです。
若いカメラマンは「女のことを一日に1度も考えずに暮らしたのは、何十年ぶりだ。」という。毎日が「大極地大冒険太平洋ひとりぼっち翼よあれがパリの灯だ」的な日々で女どころではないのですと。
川旅は男の世界。孤独で・危険でシンドクて、いつも野の風と光の中で生き、絶えず少年のように胸をときめかせ、海賊のように自由で・・・ここには男の望むものがすべてある。
北海道の余市のアリスファームのオーナー、藤門とは椎名誠同様カヌー仲間なんですね。
藤門は世界中をヒッピーして歩き、彼や奥さんの本も何冊か読んだことがあります。
集まるんですね、こういう少年から脱皮できない男たち。
座してそういう本を読むのが好きな私。^^
ひなびた露天風呂では車から裸のじいちゃんや子供が下りてくる。バアチャンの背中を流しながら、開拓時代の労働生活1代記を聞くのも楽しみ。
そしてやっぱり下流にくると、河岸にはブルドーザー・・川床はごろごろ尖った石が投げこまれ、魚は傷つき、曲がりくねった栄養豊富な河岸を失い、ただのまっすぐなコンクリートが続く。
今は、カナダが唯一政府の保護のもとに自然のままの河が守られている。
山の木は水なのだ。木がなければ川はなくなる。そういうことなんですね。
by oss102
| 2017-05-12 16:00
| 本
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