得られなかったものは、本当に必要でなかったという、負け惜しみに甘んじることかーの後に上記の言葉が続く。 池澤夏樹の新聞小説の中の男のセリフである。
どう生きようかと、岐路に立っている女性との会話である。
選んでしまった道は戻れない。その道を後悔のないように進むしかない。
そうして、こうして生きているだけで有難いことだと、羨ましさや努力不足を、感謝にすりかえて、私は生きてきた。
本当の努力をせずに、苦しい道は避け、楽しいらくな道ばかりを選んで来たと思う。
すり替えと自覚はしている。
そこから先へ進めないで70のよわいを越えた。
自分をもう一息愛せない理由である。