2月21日この欄に茨木のり子、追悼を書いた。
今朝の読売新聞「編集手帳」を、茨木のり子のところだけ、そのまま紹介したい。
先月くも膜下出血で死去した詩人の茨木のりこさん(享年79)から今、交流のあった人々のもとに別れの手紙が届いている。長く独り暮らしをしていた茨木さんが生前につづって印刷し、甥夫妻に発送を託したものという。
「あなたさまから頂いた長年にわたるあたたかなおつきあいは、見えざる宝石のように、私の胸にしまわれ、光芒を放ち、私の人生をどれほど豊かにしてくださいましたことか・・・」
行間には、「あなたのおかげで満ち足りた生涯、どうか思い煩ってくださいますな」という、生者への心寄せがにじんでいる。甘えることをなによりも嫌った詩人の、凛とした面影がしのばれよう。
素晴らしい手紙。 私にもこのような手紙を用意しておきたい友人はいる。だがもらえるだろうか。これからの日々を大切に心こめて生きていくしかない。