仏事というのは伝統的なものだから、昔からのしきたりがある。
春秋のお彼岸、お盆、命日、月の命日と特別にお供えする日が沢山ある。
以前は神妙にこのしきたりを守っていたが、段々疑問を感じてきた。昔はどこも大家族だったし、お盆は遠く離れた子や親族が集まった。子供も多かった。
仏前に供えられた御菓子はもとより、スイカ、煮物、おはぎ、どれも素晴らしいご馳走であった。
それを下げて食べる事が供養になった。
だが今は違う。お寺に行っても供え物は持ち帰ってくださいの、お線香は上質のを1本だけとか張り紙がうるさい。お寺も後片付けが大変なのだ。供養どころか大量のゴミになる。
家の仏前のお菓子も果物も食べきれない。近所にあげたいが、それが積もればお返しを考えるだろうし、みな高齢で糖分も控えなければならない。
お供え物の行き場に困って供えなくなった。
一人暮らしの友はお盆や命日には、花だけちょっと豪華にしてお供えものは一切止めたという。
そしてネコが来た。好奇心満々の2匹は目を離すと仏壇に入り込む。
今は月の命日に線香1本燃え尽きるまでしか扉を開けない。
世の中の暮らしが変われば、仏前のお供え物も変わっていい。
なき父母や夫は、仏壇の中だけにいるとは思っていない。