今日、雨を追いかけるように仲間と遊びに出かけた。 帰る途中からは雨が降らなかったようで、道路が乾いている。皆で口惜しがったが、途中でセリを採って来た。
車に積んでいた長靴をはいて水辺に下りる。
何十年振りだろう。小5で樺太から引き揚げてきて、道南の田舎町に住み、春は友達と近くの畑で、アサヅキ、セリ等を摘んだ。
アサヅキはまだ耕かされていない畑のへりに生えていた。セリはその近くの小川の縁で積む。
そのとき、広い畑の向こうの農家から、小父さんが畑に入らないで歩くようにと声がかかった。
耕されていないので、私たちは、畑を斜め横断していたのだ。
私は注意されたことに気が咎めて、すぐ帰ろうとしたが、友人は「やさしい小父さんだね、おこらないで」と「ハイ」と返事をしてペコリとお辞儀をした。
友人は、芸者上がりのきつい継母に育てられて、厳しいしつけをされていると、田舎では評判だった。 私はその素直さに、エライナァと感心した。
その後、野セリを摘むチャンスもなく、50年振りのことだった。時期が少し遅いのか、葉先は少しモタついた味だが、根元は柔らかくかおり高い懐かしい味がした。