ず~~と昔、30代のころ読んだ本で、忘れられない犬がいる。
吠えろ アンティスといった題名だった。
どこの国の人だったか、スパイかなにかだったらしい。
情勢が逼迫して、家族にも告げず、夜半シェパードのアンティスだけを連れて家を出る。
夜から夜の危険な逃亡。 国境を越える。 河を渡る。 銃弾が飛び交う中、男と犬は必死の逃亡生活。
わずかな食べ物を分かち、命令の声も出さず、犬は男の声なき声を聞き分けて、一心同体で進む。
隠れ家での
心を一つにした生活。
どのくらいの期間だったのか、情勢が変わって、男に平和が訪れる。
男は街に出て女と遊び、外に心を移していく。 それに従って、犬の生活も荒れたものになり、男の命令にも従わなくなっていく。
その後、男の生活も落ち着いて、航空関係の仕事に就く。
男の乗った飛行機がまだ見えぬうちから、アンティスは正確に男の乗っている飛行機が分り、滑走路で待つ。
こんなあらすじであった。
犬にとってあるじは一人だけ、心を一つにした生活は、どんな自由も美味も、かえりみる価値のない生活だとわかるのだ。
この本のこと
念のためインターネットで検索してみた。 あった。
アンソニーー・リチャードソン著 藤原英司訳 1970年に出ている。
もう本屋では扱われず、古書店で昨日の段階で2冊あり、一冊は680円、別の方では800円とあった。 今日の検索ではもう出なかったので売れてしまったのか。
こんな古い本を買う人がいるのですね。 世の中広い。