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萌子が健常型有料ホームに入りたかった理由は、母の積年にわたる弟の嫁との確執だった。
好きでない人間同士が介護関係に入るのは、される母もする嫁も地獄。
だが考えてみれば萌子には嫁という存在はないのだった。
仲良しの樋口恵子も吉武輝子もギリギリまで粘ってどうしようもなくなったら介護施設に入ると言っている。
そうか・・それも視野に入れるか。
だが、自分がボケたということが自分でわかるのだろうか? 母親は立てなくなってすぐに病院徘徊、「嫁に殺される!」と騒ぎ、ついに長期療養病院の精神科に入る。寝たきりで7年。
そろそろ自分が「ケアハウスへの入り時」だということは誰が判定するのか。
この年になると、なんの書類にしろ後見人がいる。2級の障害者手帳を持つ息子はダメ。 娘は遠く離れて子育てに精一杯。
特養は公的補助がある。一時金ゼロ・月額55千円~7万円。超満員で順番待ちが2・300人はいる。それが普通。
とにかく萌子は個人年金に全財産を投じる。この個人年金は77才6ヶ月以上は入れない。萌子このとき77才5ヶ月であった。 スッキリさっぱりしたと萌子は書く。
だが、萌子が亡くなったのは78才のことであった。
つづく
by oss102
| 2013-03-20 15:56
| 本
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