フーロは犬のように、娘の帰りを待つ。夕食のエサを食べ終わると、すぐさま戸を開けて店のウインドウに飛び乗る。ガラスの棚では、この頃では2.3度しかないだろう。
1時間くらいは平気で待つが、娘の帰りが遅い日は、低音でウォ~~ウォ~~と野性的な、なき声で部屋にもどり、ネコ出入り口から奥の部屋へと抜けていく。そしてまた寒い店へと網を張りに行く。
たまにタイミング悪く、部屋で寝ているときがある。ガラガラとシャッターを開ける音がする前
から早く、キッと首をもたげる。ツ ツ ツと戸の前に行く。
ショウマは知らんぷりだ。 そんなフーロだから、娘は寒い中、お腹をすかせて帰ってくるのだが、フーロに少しだけ付き合う。夜のフーロは昼間の警戒心の強いビクビクフーロとはまるで違う。夜の闇はボクの世界とばかりドンドン歩き出す。 そうなるとショウマは承知しない。ものすごい声をはりあげて、ボクもボクもとなきわめく。 犬のように2匹一緒には絶対歩けない。ロープがこんがらがるだけだ。 ショウマはフーロが出て行くのが気に食わないだけで、フーロが帰ってくるとケロッと大人しくなる。 寒いのでショウマの散歩は省略。
土日の娘の休みには、寝ているようでも、娘がコートを着だすと、フーロはすかさず戸口で待つ。
娘が2階に上がると、ネコ出入り口からズボッと音を立てて、トントントントンと2階へ上がって行く。太っているので出入り口は1ッパイ1杯だ。
娘の部屋がまだ寒いと、入り口で立ち止まり、まだ寒いのかという顔して、低音でニャ~~とないて下りて来る。 しばらくするとまた上がって行く。
こんな具合に、お互いの心が読めるから、娘も私もフーロびいきになる。
そんな心をさとられまいと、ショウマへの声かけも忘れないのだが。