|
O氏は視覚障害者だった。 とても名前が覚えられない難しい長い病名がついていた。見えるのだが範囲が狭いというか、見え方に問題があるらしかった。 教員を勤め上げている。
一人でバスに乗ってどこへでも出かけていく。 人が大好き。
パソコンは特別仕様の音声で聞く。 でもとても大きい文字を出して読んでもいる。 朗読ボラのCDなどを聴いていたようだが、最近は5万冊読めるという朗読アプリを入れたようでニコニコしていた。
ダンス・俳句の会を主催・運動神経は抜群だった。
パークで妻のFちゃんの付き添いで、向こうの小屋の横1メートル、距離30メートルの声で、手の引き加減を計算して見事に打つ。 慣れたところでは付き添いはいらない。
この人、見えたら凄いだろうなと思った。 そしてその悔しさを見せない明るさに感心する。
妻のFちゃんはO氏より6才下。 私はテニスで知り合った。
なんとなくウマが合って、私の貴重な気の置けない友人である。
若い頃はさぞや、と思われる美貌でOSSナンバーワンかなと思っている。
一男一女をもうけ孫もいる。 60代のころはよく揃って海外旅行にも行っている。
どこの夫もそうだろうが、70代に入って健康に不安が出てくると妻へのベタボレぶりは、はたの目にもあきらかになる。
動脈瘤があり、心臓にもカテーテルとかいうものを入れ、今年はその交換手術もした。
食事にも血圧管理なども神経質なぐらい真面目にやっていたようだった。
つづく
|