「作家になるには、どうしたら」と聞かれて逢坂剛はこう答えている。
「君は子供のときから、沢山本を読んでいたかね」「いない」と答えると「それじゃ無理だろう」と言っている。
なるほど、プロの作家になるということは、ウインブルドンテニスで活躍している人たちが、4.5才の頃からラケットを持って、テニスクラブに出入りしていることと同じか、と思った。
先日テレビで、室井祐月の人生歴のようなことをやっていた。
売れっ子作家である。私はまだ彼女の本を読んだことは無い。
ある雑誌の編集長が語っていた。「デビュウ作の冒頭の文章が素晴らしかった。人をいっぺんにひきつける強さがあった。」
セックスの後のミリンはうまい 出だしの文だそうである。
彼女は本なんか読まなかったと言っていた。新宿のキャバクラで№1のホステスにもなった。
づけづけものを言う。20~30代向けの週刊誌や雑誌に、ひっぱりだこの作家であるらしい。
ホステスをやっていたとき、売れっ子作家が20万のドンベリを抜いたりして豪遊していたので、作家は儲かるものであるらしい、自分も書いてみようと思って、少し本を読んだそうだ。
彼女の書いた本が、これから不朽の名作となって、生き延びるかどうかはともかく、新鮮さが受けたのだ。彼女の突拍子も無いコメントがホステスとして№1にのし上げたし、文章を書いても勝ち組になったのだ。
本なんぞ読まないで育ったからこそ、書けたのだ。
面白いと思った。
新しい作家の小説にも馴染めず、古い作家の感覚にも、もうあき足りず、実録ものばかり読んでいる、昨今の私です。
この文を当日に読んでいただいた方、室井祐月の名を侑子と間違えて書いていました。
ごめんなさい。