私は5人兄弟姉妹の末っ子である。
世間では末っ子は三文安いと言う。 本当にその通りだと思う。
負けん気が強いくせに、先頭に立って、人に指図をするのは苦手だ。人を動かして、責任をとりたくないのだ。いつも2番目あたりで、いい子でいたい。
知人に、10人きょうだいの第一子の長女がいる。
独身を通して、退職後はミニミニホールとそれに付随する喫茶店を開いている。ミニミニホールで企画し、イベントがあると、知り合いに電話なりで誘いかけるが、結構強引なところがある。
物言いがキチンといいきる。あいまいでない。
決して女史風ではなく、つつましく可愛い感じなのだが、不特定多数の人間を集めて、成功させている。
ねこ好きなので、知り合ったが、ねこを嫌いな人は、人間的に欠落しているとまで言い切る。
確信を持って、ノラの子をすすめる。
私だと、相手もそれぞれ思惑や事情があるでしょうからと、引っ込むところを、押し続ける。
そういうカリスマ性は、人を惹きつける。みんな半端な気持ちなのだ。どちらかに決めて欲しいのだ。
まわりにはファンが一杯いる。
第一子は、幼いころから、命令できる子分がいて、かばったり、いたわったり、リードしたりして育つ。
子供の時分はもとより、結婚も早く子供も早かったので、PTAでも若手でいたが、いつの間にか、会長とかそういうものを押し付けられる年齢になっていた。
これがきらいである。
何かの行事に、人を誘うのでも一回きりである。相手がためらっているのを、もう一度強くはすすめられない。自分で決めてというわけである。
自分一人のことなら決断は速いが、全体のこととなると、
あぁも思い、こうも思い、人をたばねて引っ張っていくのは苦手である。
私は三文安いまま死んでいくだろう。