俵萌子が主催する「1・2・3で温泉に入る会」
乳ガンで乳房を失った人たちの会である。ガンは命と直結するから、ガンの会は全国にある。
ガン友になると、初対面から手を取り合って会話がはずみ心が通うという。
身内を殺された人の会、親に自殺された遺児の会、拉致被害者家族同士。 究極の悲しみ、怒りを味わった人は、誰になぐさめられても心癒えることはない。
孤独に沈むとき、同じ思いを味わった人同士は、この悲しみをなにを言わずともわかってくれると思うのだ。
ペットロス同士の会もある。肉親の死だとある程度、同情がもらえるが、ペットとなると周りの扱いが軽くなる。
だが、当人にとってみれば、家族同様の悲しみがある。そこで会がある。心おきなく悲しみに浸れるというわけだ。
人間の想像力なんてやわなものだ。体験でしか分らないのだと実感する。
それでもあえて、見えない心を想像するのは思いやりであり、知性だとも思うのだ。